「スカイウォーカーの夜明け」感想2(ネタバレ有)
Twitterだけでも様々な人が様々な感想を述べていて、多くの人に熱量を向けられるスターウォーズを私も好きになれて本当によかった。前の記事に引き続き、ネタバレしていますのでご注意ください。
スカイウォーカー姓
登場人物が別の姓を名乗るシーンと言えば、森薫のエマを思い出す。こちらは何もないところから人に促されておずおずと名乗るが、レイは自分の意思ではっきりと選択するところが違う。
個人的には、レイは自分の出自にそのまま自信を持っていてほしかった(レイアが知りつつも訓練を施したように)…と思う反面、新たな名前を得ることで生まれ変わる、ポジティブにはたらくこともあると思うので(乱暴な例だが、コンプレックスを治す整形手術など)、一概には「こうすべきだった」と断言できない。
あとは突飛な想像だが、例えばフィンもスカイウォーカー姓を名乗って「誰だってスカイウォーカーになれる」的なエンドだったら意味合いはガラッと変わってくるし、なんならこちらのほうが好きなくらいだ。
レイロシッパー的には、レイがスカイウォーカー姓を名乗った真意がもう少し気になるところ(カイロレンもといベンソロとの結びつき(有り体に言えば嫁入り)が前面に来るなら「レイソロ」になるはずなので多分違うのだろう)。
フィン2
ポーとめちゃくちゃ仲良くなっているし、ローズとも意味深な視線を交わしているし、ジャナの登場もインパクトを与えたようだし、レイに対しても強い絆がある…今作で周囲との関係がぐっと深みを増したようで、かつての組織から逃げ回ることか最重要課題だった頃のフィンと比べて深みが増していて心から祝福したくなる。
映画的には中途半端で結局誰とどうなりたいのさ?という疑問が湧くが(批評としてはこちらの見方が正しいような気がする)、一筋縄ではいかないところが逆にリアルかもしれない。
ジャナ
これは意見が割れるところだと思うのだが、フィンはジャナに対して(あるいはジャナはフィンに対して)恋愛感情を抱いていたのだろうか?
男女の友情がアリだと思う派としては、彼らは「ストームトルーパーの脱走兵」という同じ境遇の者として強い共感を得てこそあれ、恋愛感情とはちょっと違うような気がする。
そして彼女はランド・カルリジアンの娘説があちこちで言われているが、個人的には先の映画ハンソロからランドはL3に恋する人というイメージが強いので、どこかで詳細が語られているといいな(確かアメコミでランド自身のストーリーが出ていたので今度確認してみたい)。
吹替版
日曜日の午前中の回、見終わって席を立ち、ぐるっと見回すと家族連れが約半数を占めていた。公開日からマニアックなネタやshipの考察を貪り読んでいたので忘れていたが、スターウォーズは間違いなく子どものための物語でもあるのだ。
吹替版は声を別撮りしているだけあって発音がはっきり聞き取りやすいし、捻った言い回しも少ないので、ストーリーを理解したり小ネタを拾ったりするのに最適だった。例えばジェダイの呼び声、字幕版ではさっぱりだったものの吹き替えでは何人かの声を聞き分けられて大変嬉しい。吹替版を侮ってはいけない!
ハックス将軍2
吹き替えで「ファーストオーダーの"新しい"スパイ」という表現がされていたので、寝返ったのはep8から9の間だろうか。前の記事で「スパイになった理由はレンではなく別に何かありそう」と書いたばかりだが、再度見直すとそうでもないような気がしてきた。
出世の道が絶たれたと悟った瞬間に敵方へ寝返るのも、ある意味ハックスらしいと言えるかもしれない。
ルーク
レイと邂逅した時、とても満足そうな表情で笑みを浮かべていたルークに「これでこそマスターですよ…!」と心の底から嬉しくなった。
最後のジェダイの自らの過ちに苦悩するルークも人間味があって非常に親しみが持てるが(と書くと若干語弊があるかもしれないが)、圧倒的な力で新世代を導くルークは、まさに映画で私たちが見たかったルークの姿ではなかろうか。
レンに対して「女に気をつけよ」と言ってみたり、レイに「お前が女帝になるのだ」と唆してみたりと方針がブレブレな皇帝だが、逆にそれが本来の皇帝らしいというか、手段を選ばないところがシスなのかもしれない。
蘇生
正直なところ「この人は死んでいます」という表現が割とあからさまで一瞬現実に引き戻された(人間はここまで短時間で土気色にはならない…ような気がする)が、突っ込むだけ野暮というか、あのテンポ感で表現するのには仕方なかったのだろうな。
レイアの死
レイアの身体がジェダイ的に消滅するタイミングがベンソロの死の直後であり、「もしかしたらベンソロをフォースで生かしていたのは、レイとレイアの共同作業だったのかもしれない」とぼんやり考えていた。
マズ・カナタが「私のお姫様」と表現していたのにはもう涙を禁じ得ない。話は飛ぶが、例えばビクトリア朝の物語で、執事がいつまでたっても若当主世代のことを「坊っちゃま」「お嬢様」と呼んでしまうのと近い何かを感じた。
カイロレン
「あなたカイロレンの事しか見てないでしょう」とSWつながりの知人に言われて、あながち嘘ではないなと思ったくらいには思い入れのある登場人物。書きたいことは山ほどあるので少しずつ。
殺陣について、ダークサイドを脱することを決意するまでは非常に重々しく戦っている印象だったが(うまく伝わるかわからないけれど、体の周囲が弾力性のあるゼリーで覆われていて、動きの一つ一つに力が入っている感じ)、十字のライトセイバーを投げ捨てた後は憑き物が落ちたような軽やかさで立ち回っていて鮮やかで、…彼の活躍をもっと見ていたかったと思うのはわがままだろうか。